Web 共済と保険2026年3月号
AOAセミナー2025 ヤングリーダーズプログラム報告
前月号に続いて、今月号で報告する内容は、韓国・ソウルで開催されたAOAセミナー2025(2025年11月13日~14日)のなかで行われた「ヤングリーダーズプログラム」です。
本稿では、日本国内で開催されたヤングリーダーズプログラムの事前交流会や参加報告会等についてもあわせて報告します。
前月号、「AOAセミナー2025」の報告はこちら

1. はじめに
AOA※1は、国際協同組合保険連合(ICMIF)に所属するアジア・オセアニア地区の団体で構成する地域協会で、2年に1回セミナーを開催しています。
「ヤングリーダーズプログラム(以下、YLP)」は、ICMIF会員の将来の有望なリーダー候補であるヤングリーダーを対象に、その育成を目的として、ICMIFが実施しているプログラムで、2017年のICMIFロンドン総会からはじまり、ICMIF総会やAOAセミナーにおいて以降継続して開催されています。今回のYLPは、AOA主催では、香港(2018年)、シドニー(2023年)に続いて3回目、ICMIF主催を含めると7回目の開催となりました。
今回、AOAセミナー(韓国、コンラッド・ソウル)に併せて開催されたYLPには、3つの国・地域から11団体、38名のヤングリーダーが参加、日本からは、ICMIF会員よりJA共済連8名、こくみん共済 coop 14名、コープ共済連3名、JF共水連2名の27名のヤングリーダーのほか、Gallagher Re社、Swiss Re社から各1名が参加しました。
※1 Asia & Oceania Association of the ICMIF(国際協同組合保険連合アジア・オセアニア協会)
2. YLP事前交流会
(2025年10月7日 日本共済協会)
AOAセミナーの開催に先立ち、当協会(日本共済協会)では、2025年10月7日に、国内のYLP参加者を対象に参加者間の交流を深めるため、当協会主催のYLP事前交流会を開催しました。
このYLP事前交流会では、①ICMIFおよび世界の協同組合、②ICMIFと日本の団体の位置づけ、③AOAおよびYLPについての概要説明を行い、過去のYLPに参加した先輩ヤングリーダーによる体験談の紹介、アドバイスを通じて、ヤングリーダーを支援するプログラムを実施しました。交流会のグループワークでは、AOAセミナーへの参加を通じて、自分たちは何を学んでこれからどのように取り組んでいくのかを話し合いました。自分の目標や課題をメンバーと共有し、参加意識を高めることでAOAセミナーへの参加目的を確認しました。
初めて顔を合わせるヤングリーダー同士がこの交流会を通じて、お互いに打ち解け、それぞれが目的意識を持ちながら連帯感が高まっていく様子に、所属団体の枠を超えたメンバー間の交流の重要性とAOAセミナーおよびYLPへの参加にヤングリーダーたちの意気込みが伝わってくるようでした。

3. ヤングリーダーズウェルカムドリンク
(2025年11月12日 韓国・ソウル)
AOAセミナー開催の前日(2025年11月12日)は、各国からYLPに参加するヤングリーダーたちの交流の場として、ヤングリーダーズウェルカムドリンクが開催されました。
日本からの参加者のほか、韓国、フィリピンなどの参加者が、自己紹介、所属団体やそれぞれの仕事の内容などについての話をするなど、お互いを知り、親睦を深め、交友の輪を広げる大変有意義な国際交流の場となりました。

AOA事務局 提供
4. ヤングリーダーズプログラム(ラウンドテーブル・ミーティング)
(2025年11月14日 韓国 コンラッド・ソウル スタジオ4)
AOAセミナー2日目(11月14日)の朝には、YLPのメインプログラムであるラウンドテーブル・ミーティングが開催されました。各国の参加者全員が対等な立場で朝食をとりながら、和やかな雰囲気で自由に話し合うラウンドテーブルでは、5つのグループに分かれ、各テーブルにCEO(各国から参画した協同組合、相互扶助組織の経営責任者)1名、ヤングリーダー6~8名に、通訳やランゲージサポーター※2が同席して意見交換を行いました。ラウンドテーブルでの意見交換は、英語を基本としており、日本のヤングリーダーも資料を片手に、通訳やランゲージサポーターの協力を得ながら、取り組んでいる様子が窺えました。
※2 使用言語の異なる参加者間のコミュニケーションを支援するサポーター

各テーブルでは、ヤングリーダーからの質問にCEOからは、「リーダーとしての役割やマネジメントを行う立場としての姿勢や大切にしていること、そして部下や後輩が失敗を恐れず、挑戦できる環境をつくり、導くことが大切である」といったアドバイスや、「技術革新が進んでも人と人とのつながりを大切にし、地域社会に貢献していくことは協同組合の役割であり、私たちは次世代に協同組合の価値を伝えていかなくてはならない」といったアドバイスやヤングリーダーへの期待を込めたメッセージが伝えられました。
<参加者の学びや気づき>
・部下が「完璧にできない=失敗」と捉えないようリーダーは部下に寄り添い、「少しくらいの失敗を許容」し、部下の挑戦を後押しすることで成功体験が得られ、成長と成果につながる(Group1)。
・顧客を深く理解し、その想いに寄り添うことは仕事の場面だけでなく、職場、家族や友人など、あらゆる人間関係において大切である(Group2)。
・顧客に合わせて、顧客のニーズやトレンドをしっかり把握し、自分たちが変化していくことが重要である(Group3)。
・リーダーシップにおいて重要なことは、常に模範となるために言動や行動に気を遣い、相手とのコミュニケーションを大切にしながらビジョンを共有化することである(Group4)。
・メンバー内での教育を行いながら、次世代を担う人材を育て、イノベーションしていくことが必要である(Group5)。
国や地域によって状況は異なりますが、気候変動による自然災害の頻発・激甚化への対処、日本や韓国における少子高齢化、AI・デジタルへの対応、労働環境の問題そして若手の人材確保と育成・定着といった様々な課題に直面しています。
こうした課題について、各国のヤングリーダーがお互いに共通認識をもって話し合い、協同組合が果たすべき役割とその価値を再認識し、利用者や地域社会のために何ができるのかを考え、イノベーションしながら取り組んでいくこと、そしてその取り組みをしっかりと次世代につなげていくことの重要性をあらためて学ぶ機会となりました。
※ ヤングリーダーズプログラム(ラウンドテーブル・ミーティング)に参加したヤングリーダーのコメントは、本記事の巻末資料【参加者コメント1】に掲載しています。
5. YLP参加報告会
(2025年12月15日 日本共済協会)
AOAセミナー・YLPから1か月が経過した2025年12月15日に、当協会主催のYLP参加報告会を開催しました。国内から参加したヤングリーダーたちが4つのグループに分かれ、YLP事前交流会以降、仲間として活動した2か月間を振り返り、「学んだこと」、「再認識や新たに発見したこと」、「これから取り組んでいきたいこと」など、学びや気づき、自分たちのこれからの取り組みについて話し合い、その内容を発表し、全体で共有しました。
各グループからは、「『協同組合の価値を再認識し、その輪を広げていくが大切』であり、『Leave No One Behind(誰一人取り残さない)』という気持ちをもって、『若手が挑戦しやすく、助け合えるチームづくり』、そして『心理的安全性を高める誠実な姿勢』で取り組んでいくことが人と人とのつながりを発展させ、自分やチームを成長させる」といった内容の発表があり、所属団体の枠を超えた連帯感が深まるものでした。
※ AOAセミナー・YLPに参加したヤングリーダーの振り返りコメントは、本記事の巻末資料【参加者コメント2】に掲載しています。

6. ICMIF/AOA YLPフォローアップ活動
(2025年12月16日 こくみん共済 coop 東京会館)
YLP参加報告会の翌日(12月16日)には、2023年AOAセミナー、2024年ICMIF総会および今回AOAセミナーのYLP国内参加者が集い、参加者自身の成長と組織への貢献を促進する「YLPフォローアップ活動」がこくみん共済 coop 東京会館にて開催されました。
7つのグループに分かれ、メンバーが1人ずつ「自身が大切にしている価値観・姿勢・行動」について紹介するところから、和やかな雰囲気ではじまりました。前回までのYLP参加者から、学んだことを活かした取り組みや成果が報告され、今回のAOAセミナーに参加して学んだことを今後どのように活かし、次世代のリーダーを育てていくか等について意見交換しました。自分の団体の中に居るだけでは気づけないことを協同組合間連携により学び、自分たちが大切にしている価値観を発信、共有していくことで、相互理解が深まり、協同の力は大きなものとなります。それぞれの参加者が今後の自分の活動について語り、お互いの活躍を応援する集いとなりました。

7. おわりに
2025年10月7日のYLP事前交流会から、ヤングリーダーたちの活動を取材してきました。当初、どことなく不安を感じているように見えた彼らが、AOAセミナーやYLPでの新しい発見や海外の協同組合の仲間との相互理解を深めたことで、ヤングリーダーたちの表情や意識の高まりに変化が見られた2か月間でした。
国や地域、所属団体の枠を超えた今回の交流では、ヤングリーダーの多くが協同組合の理念を共有する仲間として共感を生み、新たな発見と気づきを共有し、協同組合の役割を実践していくことにつながる有意義な活動となりました。今回のYLPが、絆を深めた国内外の協同組合の仲間との関係を大切にし、今後も積極的な情報共有や交流を通して、協同組合の精神のもと、その価値を高め、地域社会への貢献に広く活かされることを願っています。そして、YLPに参加したヤングリーダーたちの今後のさらなる活躍を期待しています。
最後に、今回のAOAセミナー、YLPの取材では、多くの方々にご協力をいただきました。AOA事務局、各参加団体事務局の方々および先輩ヤングリーダー、サポートいただいたGallagher Re社、Swiss Re社の方々、関わってくださったみなさまに心から感謝申し上げます。
本記事で掲載の資料等につきましては、関係各位のご了解のもと、取材撮影、ご提供いただいたものを使用しております。
関係各位のみなさまには本記事の取材に協力いただき、ありがとうございました。
【巻末資料】
(1)参加者コメント1
ラウンドテーブル・ミーティングに参加した感想と印象に残ったこと

(2)参加者コメント2
AOAセミナー、YLPを振り返ってのコメント

>巻末資料のPDF版はこちら