Web 共済と保険2026年2月号
AOAセミナー2025 参加報告
Ⅰ.はじめに
AOA※1セミナー2025が、2025年11月13日~14日に韓国・ソウルで開催されました。ホスト団体は、韓国のNH農協生命が務め、日本、韓国、フィリピン、スリランカなど8の国・地域から25団体、127名が参加しました。日本のAOA会員からは、JA共済連、JF共水連、こくみん共済 coop、コープ共済連、日火連、日本共済協会の6団体、46名が参加しました。
※1 Asia & Oceania Association of the ICMIF(国際協同組合保険連合アジア・オセアニア協会)
今回のセミナーでは、「『利用者のための組織であり続けるために』~2025国際協同組合年 私たちの価値を再考する~」をテーマに各団体からの報告やパネルディスカッションが行われました。本稿では、2日間にわたって開催された当セミナーについて日本から参加した共済団体のスピーチを中心に報告します。

| AOA(ICMIFアジア・オセアニア協会) ICMIF(国際協同組合保険連合)の地域協会のひとつとして1984年に設立され、アジア・オセアニア地域の10カ国45団体が加入しています(2025年11月現在)。アジア・オセアニア地域の協同組合保険運動の発展支援や会員相互の交流機会の増大および友好の促進を目的に、セミナー等を定期的に実施しています。 |

Ⅱ.セミナー
1.セッション1(開会挨拶と基調講演Ⅰ)
セミナー会場となったコンラッド・ソウルの会場には、多くの参加者が集い、韓国伝統衣装を纏ったAOAの理事が韓国語で挨拶するAIを活用して作成した動画の上映で、セミナーが華々しく開幕しました。開会にあたり、AOA会長の村山美彦氏(JA共済連 理事長)から挨拶がありました。

AOA村山会長ご挨拶(AI作成動画)
(1)開会挨拶

(2)基調講演Ⅰ:協同組合と相互扶助組織の目的と影響
BCCM CEO メリーナ・モリソン氏 (オーストラリア)
2025年は国連が定めた「国際協同組合年」であり、協同組合の重要性が改めて注目されています。協同組合は、地域や市場をサポートする組織として社会的な責任を果たしており、世界で不可欠な存在となっています。世界には10億人以上の会員が所属し、銀行、保険、年金、介護、教育など幅広いサービスを提供しており、新型コロナウイルス感染症の拡大や自然災害により大きな被害があった時には、食料確保や生活支援などを通じて社会に貢献し、非常時に強い組織であることを証明しました。
協同組合の特徴は、利益の追求ではなく、会員の利益を最大化し、公平な機会を提供する点にあります。市場経済において、消費者保護を重視する協同組合は、持続可能な成長に不可欠であり、世界的に再評価されています。こうした協同組合の姿勢は、民間と政府が協力して社会に必要な商品やサービスを提供するという、新しいビジネスモデルを示しています。未来は不確実で複雑ですが、協同組合には、地域社会と地球環境のために新しい価値を創造し続けることが求められており、公平で持続可能な経済を築くため、その役割はますます重要になっています。
「協同組合は会員のニーズに応えながら、社会全体の利益を追求するという原則を守って、変化する世界に対応し続ける必要がある。」というモリソン氏の講演は、協同組合の役割と重要性が示されたものでした。
2.セッション2(利用者ニーズにこたえるために)
大きな時代の変化のなかで、協同組合への期待はますます高まっています。組合員は単なる顧客ではなく、その利用体験に基づく声こそが協同組合にとって原動力となっています。ここでは、そうした利用者の期待に応える取り組みの報告がありました。
(1)組合員の声がつくる保障~CO・OP共済の取り組みとこれから~

生命・医療系を中心とした商品で、その特徴は組合員の声を起点として開発されていることです。2024年度に寄せられた組合員の声は年間24万5,000件で、半数近くの方から「保障があって良かった」という声をいただいている一方で、要望・苦情も約5,000件寄せられ、改善に活かしています。
組合員の声から開発した代表的な共済商品が、「《たすけあい》女性コース(現:《たすけあい》 大人向けコース(女性))」と子ども向けコースである「《たすけあい》 ジュニア18コース(現:《たすけあい》 ジュニアコース)」です。女性のコースでは、女性特有の疾病や妊娠・分娩時にともなう異常を原因とした入院等の保障を手厚くし、子ども向けのコースでは入院や子どもに多いケガ通院が手厚く設計されています。
さらに改良を重ね、2024年には妊娠22週未満までの妊婦さんが申し込み可能な「《たすけあい》J1000円コース お誕生前申し込み」の募集を開始しました。生まれた赤ちゃんの健康状態にかかわらず、出生直後から保障を開始する本制度は、長年寄せられてきた組合員や全国の生協職員の声に応え、実現したものです。出生後のNICU(新生児集中治療室)の入院などにも備えられることから、2025年9月末時点で申込者数は2万人を超え、約2億円の共済金をお支払いしています。
今後、コープ共済連が「よりよく変えていくこと」は、災害時における事業継続と契約者目線のDX化・共済商品の開発です。組合員の期待に応えるため、東日本大震災や熊本地震などの経験から、災害時に職員が出勤できない状況でも事業継続できるよう、拠点の分散化や共済金支払いの自動査定化を進めています。また、Web手続きの拡充を進めており、2019年に開始した共済マイページの登録者数は2025年に150万件を突破、2030年には手続きの50%をWebで完了することを目標にしています。
高齢化社会に向けたコープ共済商品の開発も重点テーマであり、すべての世代が安心して暮らせるために「生まれる前から一生涯、組合員に寄り添うコープ共済」を目指します。
コープ共済連は、お見舞いの気持ちを伝えるため、共済金受取人へお送りする共済金請求書に「折り鶴」を同封しています。会員生協からはじまり、組織全体に広がった生協らしい取り組みであり、組合員からは「励まされた」「勇気づけられた」との声が多く寄せられています。今後DX化が進んでも、この生協らしいお見舞いの気持ちを伝える取り組みは続けていく方針です。
コープ共済連は、地域社会や生活環境の変化の中心に組合員を見据え、組合員の声を起点に進化を続けています。デジタル化と生協らしい人間味ある取り組みの両立を図りながら、災害対応・仕組み・制度の改善を進め、組合員の暮らしに寄り添う共済事業を未来へつなげていき、新しい価値を創造する姿勢が印象的でした。
(2)AI時代における保険会社の対応戦略
NH農協生命 カン・ヒジョン氏(韓国)
近年、AI技術の進化は保険業界に大きな変革をもたらし、これまで「人と紙の業界」と呼ばれた保険は、デジタル化とAIの活用により新たなステージを迎えています。
韓国市場を例に見ると、出生率の低下や高齢化の進展により、顧客ニーズは死亡保障から介護保障へと中心がシフトしています。一方、保険業界の成長率は低迷していますが、現状を打開するためには、DX(Digital Transformation)やAX(AI Transformation)※2の導入が不可欠なものとなっています。
生成AIは、テキスト、画像、音声など多様なコンテンツを生成できることから、金融や保険業務で広く利用されていますし、銀行、証券、公共機関、エネルギーなどの分野においては、生成AIプラットフォーム※3を構築し、AIバンカー※4などの生成AIの活用が進んでいます。
保険業務への生成AIの導入には、①新しいデジタル技術を柔軟に取り込み、②エンドユーザーの生成AI活用を強化し、③AIと人間が共有できる業務プロセスとAIインフラを構築することが重要です。
NH農協生命では、AIを活用した顧客対応や社内業務の効率化ソリューションとして、文章や音声で情報を提供できるAI名刺、商品案内や社内教育動画などを迅速に制作・提供できるAIナレーター、顧客のニーズに合わせて保険設計し契約条件を説明するAIプランナーなどを導入し、業務効率と顧客満足度を向上させることができました。
さらに、オープンバンキング(Open Banking)、バーチャル店舗、ビッグデータを活用した顧客ごとの対応やマーケティングなど、保険業務への導入範囲を広げることもできると考えています。
今後は、AIと人の融合による新しい保険モデルの構築が求められることから、単にデジタル化するのではなく、人間の意思決定を補助し、顧客との信頼関係を形成するためのツールとしてAIを活用する必要があると強調されていました。
※2 AI技術を活用して企業のビジネスモデルや業務プロセスを変革し、生産性の向上や競争力の強化を図る取り組み。
※3 企業などが生成AIを業務に活用できるようにするための基盤システム。
※4 AIを活用した銀行サービスや金融アドバイスを提供するシステム。AIが対話形式で案内やサポートを行うことで、非対面での金融サービス提供が可能になり、顧客体験の向上や業務効率化が期待できる。
3.セッション3(利用者のための組織であるために)
協同組合が利用者のための組織であり続けるためには、相互扶助、連帯、信頼という協同組合の原則に根ざした取り組みや、その取り組みを推し進めていく人材の育成が不可欠となっています。ここでは、そうした組織づくりについて報告がありました。
講演者の報告後には、JA共済連 経営企画部 次長の村岡美香氏が進行役を務め、パネルディスカッションが行われ、新しい保険の導入や人材育成のための環境整備などについて事例の解説や意見が交わされました。
セッション3 登壇者(パネルディスカッション)
(1)利用者本位の組織づくり
CLIMBS Vice-President ドナ・ディソン氏(フィリピン)
CLIMBSは、4,000以上の協同組合が会員となっており、288名の従業員、300以上のオフィスを展開しています。会員の声を反映する透明性を重視し、意思決定の過程では総会での投票を通じて重要な決定を行っています。
「相互扶助」「信頼」「連帯」という協同組合の原則に根ざし、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、従業員の福祉向上と成長を両立させる取り組みを行っています。
生命保険事業への拡大や割安な保険商品の提供を通じて、地域社会の包摂的成長を目指しています。特に、自然災害が頻発するフィリピンにおいて、災害時の迅速な対応や防災活動を重視し、消防隊やボランティア組織を活用して水不足や台風被害に対応しています。
また、従業員の約80%を占める若者に事業体への帰属意識を高める取り組みを進めるなど、若者の参画促進にも力を入れています。技術革新だけでなく、教育は重要な柱であることから、協同組合大学を設立し、若手・シニアリーダーの育成のための投資をしています。
こうした状況を背景に、気候変動に対応するパラメトリック保険※5など新しい保険を開発しました。さらに、イスラム教徒や女性向けの保険といった社会的包摂を実現するための商品開発にも取り組んでいます。
※5 自然災害などの特定イベント(地震の震度、風速、降雨量など)が契約で定めた指標(パラメーター)を超えた場合に、損害調査をせずに保険金額を支払う保険
CLIMBSは、『3C「Cooperation(協力)・Climate(気候)・Community(コミュニティ)」』をキーワードに、気候保険の開発だけでなく、マングローブ植林などの環境保護活動を推進し、SDGsの目標達成にも貢献しています。甚大な被害をもたらす自然災害への対処や地域社会での活動を通して協同組合の役割を示し、会員のニーズに応えることが、信頼、回復力、共有の繁栄を育む最大の優位性であると強く語っていました。
(2)「新しい助け合い」を支える人材づくりとデジタル商品開発

組合員への「お役立ち」を使命に、デジタル技術と人材育成を両輪とした改革を進めています。従来は「人」「紙」「電話」による対応が中心でしたが、近年はAIなどデジタル技術を活用した業務革新を推進してきました。共済という「安心の価値」を伝えるためには、人の力が不可欠であり、「デジタルと人の融合」を掲げ、組合員に寄り添うサービスを目指しています。デジタル技術の活用により、組合員や協力団体との関係を進化させています。また、すべての取り組みのカギとなる職員の育成も重要となります。これまでの「たすけあい」を「デジタル技術」と「人」への投資を軸にした「新しいたすけあい」として創造しています。
従来、共済商品の開発は、専門部門が中心でしたが、今回はデジタル基盤の商品という特性を踏まえ、スマートフォンやデジタルツールに親和性の高いZ世代職員を積極的に参画させる新しい取り組みを実施しました。このプロジェクトには全国の職員から公募で選抜されたZ世代を中心に約10名が参加し、若い世代の知見を取り入れ、従来の枠を超えた「スマートフォン等で加入から共済金請求までを完結できる仕組み」を生み出しました。プロジェクトの参加者は商品開発に留まらず、推進活動でも高いパフォーマンスを発揮し、人材成長の効果も確認されています。
人材育成では2019年に「人財アカデミー」を設立し、専用の研修施設は持たずに、主体的な学びを促す仕組みを構築しました。次世代リーダープログラムや国際セミナーへの参加を推進し、ICMIFやAOAセミナーへの参加機会を提供することで、内向性を打破する挑戦を促進しています。今回も13名の職員が積極的に手を挙げ、世界の協同組合メンバーと交流しました。こうした意欲的な職員を輩出することが、組合員のための組織であり続けることにつながります。将来的には、こくみん共済 coop の事業を支える協力団体等も巻き込み、国内外の共済団体との連携も強化し、学び合うことで職員一人ひとりの価値を高め、サービスの質の向上と組合員への還元につなげていくとともに、ステークホルダー全体の育成も目指していきます。
こくみん共済 coopは、今後も「新しいたすけあい」を創造し、組合員の安心を支えるためのサービス革新を進め、世界の協同組合との連携を強化していくとのことです。組合員に寄り添う価値提供を追求し続ける姿勢と、デジタルと人材育成を軸に新しい価値の創造に挑戦し続けていく取り組みが印象的でした。
4.セッション4(利用者の輪を広げるために)
協同組合が利用者の輪を広げていくため、地域社会における人と人とのつながりはもとより、デジタル革新や複雑化するリスクに対応する国際的な協同組合間の連携にも取り組んでいます。ここでは、協同組合の輪を広げ、持続可能な未来の創造にむけた取り組みについて報告がありました。
講演者の報告後には、Gallagher Re Japan会長の野口剛志氏が進行役を務め、パネルディスカッションが行われ、「利用者の輪を広げる」ためには、既存のサプライチェーンを活用することや国際協力を通じて知識、技術を共有することの必要性などについて、解説や議論が交わされました。

セッション4 登壇者(パネルディスカッション)
(1)インドDHAN財団の経験
DHAN Foundation People Mutuals CEO アヒラ・デヴィ氏(インド)
インドDHAN財団の保険部門であるPeople MutualsのCEOアヒラ・デヴィ氏は、貧困層のリスク軽減とレジリエンス構築に向けた相互扶助のマイクロインシュアランスモデルの取り組みを紹介しました。
インドの貧困層は生命、健康、家畜、農作物、生計、信用などにリスクや脆弱性を有しています。これまで数々の金融危機があったように貯蓄や信用には限界があり、低廉で包括的に補償する保険が必要不可欠です。
財団は地域社会を基盤に、女性の自助グループや農民組織を通じて銀行や政府とも協力し、マイクロファイナンスとして貯蓄、信用、保険を連携させ、サービスを提供しています。現在、16州130地区で活動し、200万世帯が加入しています。125万人に医療サービスを提供しており、保険契約は2,950万件に達しています。目標は、地域社会の組織化とイノベーションによる持続可能な生活と誰もが恩恵を受けられる金融包摂を実現することです。
保険分野では、生命、健康、家畜、作物など多様なリスクに対応する保障を提供していますが、地域主導のガバナンスにより透明性を確保して、伝統的知識と革新的なマイクロインシュアランスモデルを融合し、地域ごとのニーズにカスタマイズされたソリューションを展開しています。
さらに、再保険やデジタル化による請求手続きの効率化や、健康アドバイス、早期診断といった予防医療への投資、教育も行っています。保険の本質は、「信頼の構築」です。これらのプロジェクトをより大きく発展させて、軌道に乗せることで、持続可能性を担保しています。
社会保障の拡充、包摂的な金融、共同体のレジリエンス、制度の持続可能性という4つが戦略の柱で、その柱を拡大、発展させています。今後は、生命・健康保険に加え、気候変動リスクに対応した商品も提供していこうと考えています。
また、100以上のレジリエンスセンターを設置しており、農業・畜産のアドバイスや予防中心のリスク管理を推進し、リスクがあっても立ち直ることができるよう手助けする活動に取り組んでいます。
財団はSDGsの目標でもある、貧困の撲滅、健康の増進、経済成長、気候変動における具体的な対策などに貢献しています。また、女性主導の組織を通じて低コストで利用しやすいサービスを提供しています。私たちの取り組みにおいて、安全は選択肢ではなく、すべての人に保障される基本的な権利です。
アヒラ・デヴィ氏の報告は、DHAN財団の貧困層を救済するための生活基盤に関わる全般的な保障制度の構築や、リスクに対するレジリエンスを向上させる取り組みなど、女性がリードする組織が中心となり、地域社会とともに持続可能な改革をめざす活動は、まさに協同組合の精神に通じるものでした。
(2)利用者の輪を広げるためのZenkyorenの新たな挑戦

JA共済連は、2011年3月の東日本大震災後に、被災者に対して共済金の支払いや様々な支援を行ってきました。また、大規模自然災害リスクが高まるなど、現在、直面している課題に対しても取り組みを行っています。こうした支援や取り組みが、協同組合の輪を広げる一助となっていると確信しています。
東日本大震災では、地震と津波の被害により、JA共済連は9,000億円を超える共済金を支払いましたが、その半分以上を再保険からの回収で対応できました。この経験から、再保険の重要性を再認識し、以降10年間で再保険担保額をそれまでの約4倍まで増やしました。これは、災害時に共済金を支払うという組合員との約束を守るための財務基盤の確保がいかに重要であるかを示しています。
近年、気候変動やグローバル化の進展により、リスク環境は急速に複雑化しています。協同組合は地域密着型で特定産業に依存するため、リスクが集中しやすいという構造的な課題を抱えています。さらに、非営利組織であることから、資本拡大よりも組合員への還元を優先する点が、リスク移転をより難しくさせています。こうした課題に対応するため、JA共済連はICMIFメンバーとの連携を強化し、再保険やキャットボンド(Catastrophe bond:大災害債券)※6を活用する新たな仕組みづくりを計画しています。これは、JA共済連の資本を活用することにより、世界の協同組合が効率的にリスク移転を実現し、財務基盤を強化することを目指しています。
※6 保険会社や再保険会社が巨大災害リスクを資本市場に移転するために発行する債券。投資家がキャットボンドを購入し、災害が発生しなければ、投資家は元本と利息を得るが、あらかじめ定められた基準(トリガー条件)を満たす災害が発生すると、元本の一部または全部を失う。
この取り組みにより、協同組合の原則を堅持しながらもイノベーションを積極的に取り入れることで、複雑化しているリスク環境に対応できます。デジタル技術の活用や国際的なパートナーシップを通じて、より強固で柔軟な協同組合ネットワークを構築し、持続可能な未来を切り開くことが目標です。さらに、災害時の迅速な対応や、教育活動を通じた組合員の防災意識を高める活動にも取り組んでいます。これらの活動は、単に保障を提供することにとどまらず、地域社会の安全と発展に寄与するものです。
川越氏のプレゼンテーションは、協同組合が直面する課題とその解決策を示すとともに、国際協力の重要性を再確認し、未来に向けて「協同組合の精神を世界に広げ、持続可能な社会を築いて行く」という決意が示されたものでした。
Ⅲ.おわりに
今回のAOAセミナーは、オーストラリア・シドニーに続く2年ぶりの開催となりましたが、その間にも人々の思考や行動様式は大きく変化し、その変化はさらに加速しています。こうした背景を踏まえ、AIを活用して作成した動画での各国代表者のオープニング挨拶や、リモートを活用した講演など、デジタル技術を取り入れた新しい形のセミナーであることを強く感じました。
本セミナーのテーマは「利用者のための組織であり続けるために」であり、協同組合保険組織は、会員(組合員)のニーズに応えることを第一の使命とし、利用者と共に成長する組織であることをあらためて確認しました。単なる保障やサービスの提供にとどまらず、一人ひとりの利用者の声を反映し、共に創造していく取り組みが進められています。利用者の輪を広げることは、協同組合の価値を高め、地域社会への貢献をより大きなものにします。それは規模の拡大ではなく、協同の精神を広め、支え合う社会を築くための挑戦です。
2012年に続き、国連が2回目の「国際協同組合年」と定めた2025年は、協同組合に何が期待され、その期待にどう応えるかが問われる年でもありました。各組織の活動報告を通じて、歴史的に果たしてきた役割が再評価され、これからもその評価は不変であり続けることを強く感じました。
セミナーを通じ、私たちは各国からの報告に心を動かされ、将来にわたって挑戦し続ける決意を新たにしました。
アジア・オセアニア地域の仲間と共に語り、学び合うこの場が、協同組合が前例のない変化の時代に進化し続けていることをさらに深める貴重な機会となったことを実感した2日間でした。

※記事中の写真はすべて日本共済協会で撮影したものです。また、ご本人承諾のうえ掲載しています。
~3月号は、AOAセミナーのなかで行われた「ヤングリーダーズプログラム」の報告をお届けします。~