Web 共済と保険2025年8月号
2024年度 共済事業にかかる認知度等調査結果報告
日本共済協会は、共済事業が広く支持を得て発展するために必要な知見を得ることを目的として、2020年度からインターネットによる「共済事業にかかる認知度等調査」を実施しています。
今回で3回目となる本調査は、これまでと同様の方法で行われ、日本在住の20~60歳代の男女約2,000人を対象に、生活・消費における価値観、共済・保険の加入状況、助け合いに対する意識などを幅広く調査しました。調査項目は、多様な共済種類を取り扱う会員団体に共通する事項をもとに、当協会独自の内容となるよう設定しています。
本調査は、共済・保険の利用者に限らず、広く一般の方々を対象としており、本稿の前半では調査対象者全体に向けた質問、後半では共済・保険の利用者に向けた質問を取り上げています。さらに、共済・保険の加入経験の有無によって、共済・保険に対する考え方にどのような違いがあるのかにも焦点を当てて、主なポイントを紹介します。
1.日常生活での気がかりや不安
共済や保険は、生活のリスクに備えた保障を準備し、安心を得るためのものです。そこで、人々がどういったことに不安を感じているのかを、共済や保険が保障の対象とする事項を中心に調査しました。
「日常生活における気がかりや不安に思うこと」について聞いたところ、全体でみると、「老後の生活にかかる費用」が57.4%と最も高く、次いで「収入や資産に関すること」43.6%、「感染症や治療・治癒が困難な病気にかかる費用」32.3%の順となっています。
年代別にみると、20~30歳代では「収入や資産に関すること」(20歳代39.9%、30歳代51.4%)、40~60歳代では「老後の生活にかかる費用」(40歳代56.5%、50歳代70.8%、60歳代77.7%)が最も高い割合を示しています。また、「子供の養育・教育にかかる費用」は、30歳代が35.8%、40歳代が30.2%と他の年代と比較して高い割合を示しています(図1)。
(図1)日常生活での気がかりや不安(複数回答可)
2.助け合いの重要性の認識等
(1)助け合いの重要性の認識
共済や保険は、助け合いや相互扶助であるという言い方をされることがあり、特に共済の仕組みは助け合いの精神から始まったと言われています。そこで「助け合いが自分にとって重要であるか」について聞いたところ、54.0%が「そう思う」と回答しています(図2)。
(図2)助け合いの重要性
(2)助け合いが重要と考えたきっかけ
助け合いが重要であると回答した人(54.0%:1,038人)に、さらに「助け合いが重要だと考えたきっかけ」について聞いたところ、「自分以外の人の困った姿を見て」が37.4%と最も高く、次いで「病気やけがにより日常生活に支障が出た」が30.5%となっています(図3)。
(図3)助け合いが重要だと考えたきっかけ(複数回答可)
3.組合員加入が必要であることの認知
共済や保険は、リスクに備え、保障を提供するという役割を担っていますが、主な違いの一つとして、協同組合が行う共済に加入するには「組合員であることが必要である」ことが挙げられます。
そこで、「共済に加入する際には原則として組合員であることが必要であることを知っているか」について聞いたところ、「知らない」と回答した人(59.2%)が、「知っている」と回答した人(40.8%)を上回っています(図4)。
(図4)共済加入には組合員であることが必要だと知っているか
4.共済・保険の加入経験と契約検討の際に重視した情報等
(1)共済・保険の加入経験の有無
本調査は、調査の対象者を共済や保険の利用者に限らず、広く一般の方としているため、「共済・保険への加入をした経験の有無」、また、「契約をしたことがない人については加入の検討をした経験の有無」について聞いています。
「契約をしている、もしくはしたことがある」が63.2%、「検討はしたが、契約をしたことはない」が9.5%、「検討自体をしたことがない」が27.3%となっています(図5)。
(図5)共済・保険の加入をした経験の有無
(2)契約検討時に重視した情報
共済・保険の契約をしたことがある人および契約の検討をしたことがある人に、契約を検討した際に重視した情報を聞いたところ、「営業担当者の説明」が41.8%と最も高く、次いで「保険会社や共済のホームページ」30.3%、「保険会社や共済が作成したチラシ・パンフレット」28.5%の順となっています(図6)。
(図6)共済・保険の契約検討時に重視した情報(複数回答可)
(3)共済・保険の契約をした場面
共済・保険の契約をしたことがある人に、契約をした場面を聞いたところ、「営業担当者の訪問を受けて契約」が53.8%、次いで「Web・インターネットによる手続きで契約」が21.8%となっています。
年代別の特徴点として、20歳代で「保険や共済の代理店で契約」が26.6%、「Web・インターネットによる手続きで契約」が23.9%、「営業担当者によるオンラインでの面談を受けて契約」が15.6%となっており、他の世代と比較して高い傾向にあります(図7)。
(図7)共済・保険の契約場面(複数回答可)
5.加入経験別にみた共済・保険商品の考え
共済・保険商品への考えについて聞いた質問のうち、5つを加入経験によって比較します。
共済・保険の契約をしている人については、実際に契約している共済・保険のうちの最も新しい契約(すべて解約した場合は最後に解約した契約)についての考えを聞き、共済・保険の契約をしていない人については、共済・保険商品に対するイメージを聞きました。契約をしていない人については、さらに契約の検討をした経験の有無で分けています。
「生活の安心を守るのに有効である」と思うかについて
契約をしている、もしくはしたことがある人は、「思う・やや思う」を合わせて68.6%、検討はしたが、契約をしたことはない人は、44.5%となっています(図8-1)。
(図8-1)「生活の安心を守るのに有効である」と思うか
「不幸な出来事から生活を再建するために有効である」と思うかについて
契約をしている、もしくはしたことがある人は、「思う・やや思う」を合わせて65.2%、検討はしたが、契約をしたことはない人は、48.3%となっています(図8-2)。
(図8-2)「不幸な出来事から生活を再建するために有効である」と思うか
「日々の暮らしと切り離せないものである」と思うかについて
契約をしている、もしくはしたことがある人は、「思う・やや思う」を合わせて44.6%、検討はしたが、契約をしたことはない人は、32.9%となっています(図8-3)。
(図8-3)「日々の暮らしと切り離せないものである」と思うか
「自分が保険金・共済金の支払いを受けなくても、自分の払った保険料・掛金が誰かの役に立っていることを感じられる」と思うかについて
契約をしている、もしくはしたことがある人は、「思う・やや思う」を合わせて23.4%、検討はしたが、契約をしたことはない人は、25.8%となっています(図8-4)。
(図8-4)「自分が保険金・共済金の支払いを受けなくても、自分の払った保険料・掛金が誰かの役に立っていることを感じられる」と思うか
「保険・共済を通じた社会全体の助け合いが実現している」と思うかについて
契約をしている、もしくはしたことがある人は、「思う・やや思う」を合わせて31.3%、検討はしたが、契約をしたことはない人は、28.5%となっています(図8-5)。
(図8-5)「保険・共済を通じた社会全体の助け合いが実現している」と思うか
1、2の質問については、契約をしている、もしくはしたことがある人は、いずれも過半数以上の人が商品の有効性をイメージしています。
それに対して、4、5の質問のような「誰かの役に立っていることを感じられる」「社会全体の助け合いが実現している」といった自分の生活から少し離れる事柄については、契約をしている、もしくはしたことがある人であっても、認知しにくいものであるという傾向がみられました。
■調査概要
調 査 名:2024年度 共済事業にかかる認知度等調査
調査期間:2024年12月2日~12月3日
調査方法:日本生産性本部によるインターネット調査
(楽天インサイト株式会社の所有モニターに対する調査)
調査対象:20~69歳の男女(日本在住者)とし、性別、年齢別(10歳ごと)、都道府県別に、国勢調査(2020年)の人口構成比に基づき比率配分
有効回答者数:1,923人
詳細な資料は、以下よりダウンロードできます。
2024年度 共済事業にかかる認知度等調査のポイント
2024年度 共済事業にかかる認知度等調査・単純集計