協同組合と共済事業の発展をめざし、調査・研究、教育・研修、広報・出版活動のほか、共済相談所として苦情・紛争解決支援業務を行っています。
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お知らせ年頭所感

2016.01.01

「新たな課題を抱えた時代」の協同組合・共済事業

 
 2016年を迎えるにあたり、謹んで新春のお慶びを申しあげます。
 関係者の皆様には、旧年中に賜りました当協会へのご支援、ご協力に対しまして心より感謝を申しあげます。本年も引き続きよろしくお願い申しあげます。

 日本の協同組合・共済事業を取り巻く環境は大きく変化しています。大規模な自然災害の恒常的な発生や超高齢社会のもたらす諸課題に加え、昨年は、TPP協定の大筋合意や農業協同組合法の大幅な改定が行われました。また、IoT(モノのインターネット)の進展やAI(人工知能)の飛躍的な進化による自動運転自動車の実用化などが急速に進展したことは、我が国の社会・経済の構造変化に繋がるとともに、協同組合および共済事業にも大きく影響を及ぼす可能性があります。
 このように、「新たな課題を抱えた時代」の只中、各共済団体は保障の提供を通じて、組合員のニーズに応えてまいりました。当協会発行の「共済年鑑2016年版(2014年度 事業概況)」によれば、日本の主要な共済団体の事業実績は、組合員数7,558万人、契約件数1億5,428万件、保障共済金額1,061兆円、支払共済金額4兆5,656億円と組合員が互いに助け合う相互扶助の保障事業として大きな社会的責任を担うに至っています。
 海外においても、昨年、米国のミネアポリスで開催されたICMIF(国際協同組合保険連合)総会で地域支援、気候変動、貧困緩和といった分野において、協同組合・相互扶助の組織だからこそなしえる役割に対して、国際社会が大きな期待を寄せていることが確認されました。
 今、国内外で協同組合・共済事業への期待と評価が高まっています。さまざまな将来への不安が顕在化する「時代」だからこそ、相互扶助(助け合い)の理念にもとづき、人と人とをつなぐ協同組合・共済事業が社会に求められているのではないでしょうか。
 協同組合・共済事業は、一人一人の力は小さいけれども、人と人をつなぎ、協同することで安心・安全を求める組合員の負託に応える、「積小為大」の事業と言えます。
 事業を通じ地域社会に根ざし、人々による助け合いを促進することによって生活を安定させ、安心・安全な地域社会の構築と地域を活性化させる役割を果たすため、共済事業を積極的に展開してまいります。
 また、今年は未曽有の被害をもたらした東日本大震災から丸5年となります。震災の記憶を風化させないため、また、東日本大震災を上回る被害が想定される、首都直下地震や南海トラフ地震への備えとして、自然災害についての意識を高め、防災・減災に取組む必要性を喚起する活動を進める必要があります。

 当協会も、各種研究会や認証ADR機関としての専門性の向上、様々な政策課題に対する情報収集と影響分析などの取組みにより、会員団体や組合員の皆様の負託に応えてまいります。また、これらの取組みを含め、協同組合・共済事業を多くの方々にご理解いただけるよう情報発信に努めてまいりますので、関係各位の一層のご理解とご支援をお願い申しあげます。
 結びに、本年が皆様とご家族にとって明るく希望に満ちた素晴らしい一年となりますよう心からお祈り申しあげます。


一般社団法人 日本共済協会 会長 市村 幸太郎