協同組合と共済事業の発展をめざし、調査・研究、教育・研修、広報・出版活動のほか、共済相談所として苦情・紛争解決支援業務を行っています。
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お知らせ年頭所感

2018.01.01

 新たな2018年を迎え、謹んで初春のお慶びを申しあげます。

 本年は、日本を取り巻く安全保障環境が、戦後かつてないほどに厳しさを増す中にあって、国民の安全や安心な暮らしについて想いをめぐらす一年になりそうです。
 さて、進行しつつある「第4次産業革命」は、共済や保険の分野にも変化をもたらすことは明白です。
 モノのインターネット化(IoT)やSNS・モバイル・クラウドの普及は、生活スタイルを変え、それに対応して、共済の普及推進にも変化が求められてくるでしょう。テクノロジーの革新(AI・テレマティクス・ウェアラブル・ロボット化など)は、共済の仕組みや組合員・利用者とのコミュニケーションのあり方に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。ビッグデータ・パーソナルデータの活用や医療技術の進歩などは、リスクの前提を変えることにつながります。
 また、情報収集やコミュニケーションのツールとして、インターネットやSNSの利用が一般的になりました。今や、「人」のつながりが、これらのツールを介して行われ、「コミュニティー」が形成されているのです。
 このように、新しい技術の活用がすすむ世の中や新たなコミュニティーに向けて、共済事業をどのように展開すれば組合員の皆さまから支持を集め続けられるのか、私たちに課せられたテーマとして受けとめなければなりません。

 昨年10月に開催されたICMIF(国際協同組合保険連合)総会は、「保険をリ・デザインする」をテーマに、新興リスクや新市場に目を向けること、関係者とのさらなる信頼強化、保障の提供における最新技術の導入など、幅広く協同組合の共済事業の将来課題を取り上げました。また、次世代リーダーの交流を目的とした「ヤングリーダープログラム」も試行されました。
 まさに、世界は、未来を見ながら動き出しています。

 当協会では、昨年11月、これらの共済や保険をめぐる環境変化を踏まえ、協同組合・共済事業の原点を再確認するとともに、今後を考える契機とするために、「共済の父」と称される賀川豊彦氏の思いと活動に焦点をあてたセミナーを開催させていただきました。
 そのセミナーを通じて、私たちは「賀川豊彦氏が、日本社会の問題について考える動機となった体験、厳しい現場に自ら身を置いた経験から得た確信、戦前・戦後を通じて国内外に向け生涯をかけて協同する社会の実現に取り組んできた事績」などについて再認識し、協同組合が保障を提供するという共済事業の価値についてあらためて理解を深め、共有することができました。

 この賀川豊彦氏の思いは、広く世界のさまざまな活動に反映されています。
 2015年9月の国連サミットで採択された、17の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するにふさわしい協力者として位置づけられたのが協同組合でした。そして、この目標には「No one will be left behind(誰ひとり取り残さない)」という理念が掲げられているのです。
 共済事業は、「協同(参加)する仲間どうしが痛みのシェア(たすけあい)をする事業」といえます。保障という核をとりまいて、それぞれの協同組織のさまざまな活動の中に、寄り添い、支えあい、共生するたすけあいの社会づくりがあります。これは、協同組合の共済が産声を上げて以来、現在まで継承されている共済ならではの志です。
 そして、共済事業を通じて、組合員を増やし利用を促進していくということが、これに参加する仲間によるコミュニティーの活動を外へ外へと拡大していくことにほかなりません。私たちは、これまでもそうであったように、これからも仲間を取り残さず、より多くの仲間づくりをすすめていかなければなりません。
 まさに、各協同組合の活動の隅々にまで、賀川豊彦氏の精神を根づかせていくことが重要であり、地域社会において生活の安定や福祉の向上を求める組合員のための共済として、さらに時代や環境の変化に柔軟に対応していくことが必須です。

 日本共済協会は、引き続き、各会員団体ならびに関係団体と連携・協力し、協同組合と共済事業のさらなる発展に向けて努力してまいります。
 本年も、当協会の諸活動に、関係各位より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

                           一般社団法人 日本共済協会 会長 中世古 廣司