協同組合と共済事業の発展をめざし、調査・研究、教育・研修、広報・出版活動のほか、共済相談所として苦情・紛争解決支援業務を行っています。
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お知らせ年頭所感

2014.01.01

協同組合・共済の社会的役割の発揮とさらなる発展にむけて

一般社団法人 日本共済協会
会長 中世古 廣司

 あけましておめでとうございます。
 年頭にあたり、謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 関係者の皆様には、旧年中に賜りました当協会へのご支援・ご協力に対しまして心から感謝申し上げます。本年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 さて、年は改まったものの、ここ数年来、募りつつある不安や懸念はいまだ払拭されていません。
 2011年に発生した東日本大震災からの復興が道半ばであることに加え、福島原子力発電所の汚染水問題などは、その典型的な事例といえるでしょう。また、そう遠くない将来に発生が危惧されている首都直下地震や南海トラフ領域の大規模地震などに対して、多くの国民の皆さんが不安を募らせています。さらに、日本の経済・社会に大きな影響を与えかねないTPP交渉の行方や、国の財政悪化の立て直しと社会保障の充実・安定化を目的として本年4月に実施される消費税率引き上げによる日本経済への影響など、さらに懸念される事態が強まってきています。
 このような中で明るい材料を探してみれば、そのひとつに今日の協同組合や共済団体の躍進ぶりを挙げることができるのではないかと思います。
 昨年11月、南アフリカのケープタウンにおいて、『ICMIF(国際協同組合保険連合)総会』が開催されました。本総会では、47か国・110組織より330名が参加し、「指導力・革新性・影響力」をテーマとする講演やパネルディスカッションなどを通じて活発な議論や意見交換が行われました。初めて参加した私自身にとって、"各国の協同組合保険が、その特質や健全で堅実な運営などを通じて、それぞれの国内において一定の存在感を示すとともに社会や経済に対して有益な効果をもたらしている"ということを実感し、深い感銘を覚えました。そして、それらの成功事例には、"難局を打開するための「イノベーション」、広く社会全体への認知度を高めるための「コミュニケーション」、次代を担う人材を育成するための「エデュケーション」を徹底して実践している"という共通項があることについても学ぶことができました。総会に参加させていただき、協同組合保険の存在意義を再認識した次第です。
 一方、2013年の年末に発行した当協会の『共済年鑑2014年版(2012年度事業概況)』によれば、日本の主要な協同組合共済団体の組合員数は7528万人、支払共済金の総額は4兆4053億円となっています。また、当協会の会員団体による東日本大震災関連の共済金の支払いは、昨年8月末現在、92万件、1兆1473億円と集計されています。このように、共済事業は、いまや多くの組合員の生活設計に不可欠の存在となっているとともに、多くの被災者の生活再建の一助となりえているといえます。
私たちは、今後も組合員の立場に立ち、組合員の求める商品やサービスの提供、迅速かつ適正な共済金の支払いなどを通じて組合員の負託に応え、社会的な役割と責任を果たしていかなければなりません。

 日本共済協会は、昨年4月に一般社団法人に移行し、日本の主要な協同組合14団体の会員団体と4団体の賛助会員団体で構成する組織となりました。
 昨年における特徴的な活動を挙げるとすれば、その第一は「ポストIYC」への取り組みです。具体的には、ICA(国際協同組合同盟)のポーリン・グリーン会長、ICMIFのジョン・バームフォース会長、ショーン・ターバック事務局長をお招きしての業務研究会、また、IAIS(保険監督者国際機構)の河合美宏事務局長による講演など、時機に適った研究会や講演会を開催し、各会員のニーズに応える活動を展開しました。
 これらの取り組みについてはICAのポーリン・グリーン会長にも高い評価をいただきましたが、このような活動をさらに発展させるべく、現在、ICAへの准会員加盟の手続きも進めているところです。
 第二は、「日本共済協会セミナー」の開催です。昨年は、加速する高齢社会の現状や課題、今後の高齢社会におけるトレンドなど、各会員が今後の事業運営において必要となる視点に関して専門家の講師による講演会を企画しました。その結果、今後、協同組合や共済団体がどのように準備し、どのように実践すれば組合員の方々や地域社会に貢献できるのかという点について、いくつかの示唆に富んだ指摘がなされ、極めて意義深いセミナーを開催することができました。
 本年においても、時機に適ったタイムリーな講演会・研究会・研修会の開催、共済相談所の運営など専門性が求められる活動、協同組合関連法制・契約法制の改正や国際会計基準の見直しに代表される政策課題への対応など幅広い取り組みを引き続き展開していくとともに、各会員と連携・協力し、協同組合と共済団体のさらなる発展に向けて努力していきたいと考えます。

 本年も、当協会の諸活動に対しまして、関係各位の一層のご支援とご協力を切にお願い申し上げます。