協同組合と共済事業の発展をめざし、調査・研究、教育・研修、広報・出版活動のほか、共済相談所として苦情・紛争解決支援業務を行っています。
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お知らせ年頭所感

2013.01.01

わが国の協同組合・共済事業のさらなる発展に向けて

社団法人 日本共済協会
会長  安田 舜一郎

 2013年の年頭にあたり、謹んで新春のお慶びを申しあげます。
 はじめに、会員団体および関係者の皆様には、日頃から日本共済協会の諸活動にご支援・ご協力いただいておりますことに対しまして、心からお礼を申しあげます。

 さて、年は改まりましたが、一昨年3月に発生した東日本大震災および原子力発電所の事故の被災地の復興と被災者の生活再建はまだ緒についたばかりです。さらに大規模・広範囲にわたる被害が想定される巨大地震の発生が危惧されるなか、多くの人々が将来の生活に不安を抱いています。
 わが国の経済・社会は、行き過ぎた市場原理主義が所得・教育の面や世代間・地域間の格差の拡大をもたらし、地域経済の疲弊やいわゆる「無縁社会」といった問題が深刻化しています。この市場原理主義をさらに促進させるおそれのあるTPP交渉参加への事前協議が進行しつつある一方で、国の財政の悪化と政治の混乱・停滞で社会保障制度への信頼が失われつつあることも、人々の不安を一層大きくしています。

 2012年は国連の定めた「国際協同組合年(IYC)」であり、協同組合自らがその存在意義と将来の可能性を改めて確認し、それを広く社会に訴える機会となりました。共済事業を行う各協同組合も、互いの連携のもとにIYCの活動に参画し、組合員が互いの「安心で豊かな暮らし」を支え合うことの意義を社会に発信する取組みを行いました。震災後、多くの人々が「助け合い・思いやり」の大切さや生活保障の重要性を実感したこととも重なって、将来への不安に備える共済事業への期待はさらに高まっています。
 昨年末に当協会が発行した『共済年鑑2013年版(2011年度事業概況)』によれば、主要な協同組合共済団体の組合員数は7,333万人となり、支払共済金の額は5兆4,666億円となりました。当協会の会員団体による東日本大震災関連の共済金の支払いは、昨年9月末現在、88万5,000件、1兆1,191億円と集計されております。共済事業は、多くの組合員の生活設計に不可欠のものとなり、また、多くの被災者の生活再建の一助となっています。

 当協会は昨年、結成20周年を迎え、会員団体および関係各位のご協力を得て、記念事業を実施させていただきました。その一つである日本共済協会セミナーにおいては、協同組合共済の本質とあり方について、研究者の方々から貴重なご報告とご提言をいただきました。国際協同組合年の取組みは、全国実行委員会の後継組織に引き継がれ、協同組合の認知度向上と発展、協同組合間の連携の強化等の取組みが継続されることとなっています。
 協同組合や共済事業の真価が引き続き問われるなか、会員団体は、これからも組合員の必要とする保障を提供し、迅速かつ適正な共済金の支払い等、組合員の立場に立った堅実な事業運営を行うことを通じて、組合員の負託に応え、社会的な役割と責任を果たしていく取組みをすすめています。
 今年の4月に、当協会は一般社団法人への移行という節目を迎えるとともに、第3期中期3か年計画の最終年度に入ります。共済理論研究・共済実務研修・広報活動等の協会固有業務の充実、認証ADR機関としての共済相談所の専門性向上と態勢強化、協同組合関連法制・契約法制の改正や国際会計基準の見直しに代表される政策課題への対応力の強化といった重点項目に着実に取り組むことによって、従来以上に会員団体・友誼団体等との連携を深め、わが国の協同組合と共済事業のさらなる発展を図るとともに、東日本大震災の被災者の生活再建と被災地の復興に向けて、会員団体および関係者の皆様とともに尽力してまいる所存です。

 本年も、当協会の諸活動に対しまして、会員団体および関係者の皆様の一層のご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。