協同組合と共済事業の発展をめざし、調査・研究、教育・研修、広報・出版活動のほか、共済相談所として苦情・紛争解決支援業務を行っています。
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お知らせ年頭所感

2012.01.04

国際協同組合年にふさわしい社会的役割の発揮を

社団法人 日本共済協会
会長  安田 舜一郎

 2012年を迎えるにあたり、謹んで新春のお慶びを申しあげます。

 昨年3月に発生した東日本大震災は、東北地方を中心として、甚大な被害をもたらしました。当協会の会員である協同組合共済団体は、全国的な力を結集して現地調査活動を行い、迅速で確実な共済金の支払に向けて、精力的に活動をすすめ、約9,269億円の共済金をお届けすることができました(2011年10月末現在)。
 また、契約者訪問活動をはじめ、救援物資等の提供、ボランティアの派遣、募金活動など被災者支援活動に取り組んでまいりました。
 みんなで力を合わせて困難を乗り切ろうとする協同の精神は、被災者を励ますだけでなく、多くの国民に共感と感動を与えたものと思います。
 今回の東日本大震災による被災者の生活再建や被災地の復興には、まだまだ長い時間が必要です。当協会は会員団体と連携しながら復興支援に取り組んでまいります。

 今、世界各国は、リーマンショック後の世界的金融危機による経済的危機から脱却しきれていない状況です。それに加え、ギリシャの財政問題に端を発したユーロ圏の金融危機は世界経済に大きな影響を与えつつあります。
 日本においては、東日本大震災による被災者の生活基盤の確保、被災地の復興、各産業基盤の再構築等に加え、少子高齢化・格差・地域社会の崩壊・社会保障制度への信頼回復、財政健全化等の様々な問題を抱えています。
 野田首相は、環太平洋経済連携協定(TPP)について「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」旨を表明しました。TPP交渉参加により共済事業にどのような影響が及ぶのか、その内容を的確に把握し「相互扶助」に立脚した共済事業の後退につながらない適切な対応が必要であると思います。

 こうした状況の中、日本の共済事業は、組合員数が7,308万人、事業実績は、保有契約件数1億5,376万件、共済金額1,112兆円、受入共済掛金8兆1,939億円、支払共済金4兆6,432億円、総資産53兆518億円となり(日本共済協会「共済年鑑(2010年度事業概況)」より)、大きな社会的責任と役割を担うまでになりました。
 これは、公的な社会保障制度を補完し、組合員等利用者の安心で豊かな暮らしを支援するために、「相互扶助」を理念とした「共済」に対する期待と信頼が高まってきていることの表れであります。

 さて、本年は、日本共済協会結成20周年の節目の年であり、また国連が定めた「国際協同組合年」です。国連は、世界各国が抱える『失業』、『貧困』、『格差』、『社会的排除』等の諸矛盾を解決、緩和する組織の一つとして協同組合に期待を表明し、各国政府・協同組合関係組織等に対して、この国際年を契機に協同組合を促進し、社会経済開発に対する貢献に関する認知度を高める取り組みを行うよう求めました。
 このことは、世界93カ国で概ね10億人以上の組合員を擁する協同組合が世界の社会・経済の分野において歴史的に果たしてきた役割が再評価されるとともに、協同組合のもつ組織特性への期待であると思います。

 このように共済の真価が今ほど問われている時はなく、一つの歴史的転換点にふさわしい年となるよう、会員団体・友誼団体等と連携して、社会的にも共済の存在意義を高める活動に全力を傾ける決意であります。

 会員のみなさま、関係者のみなさまのより一層のご支援とご協力をお願いし、共に前進していきたいと思います。